常に己を磨き、誇りを持って、山と向き合う

山師の仕事

山師の仕事

新植

苗を植え、毎年6年間の下刈り

土地を耕したりならしたりし、作物が植え付けられる状態にしてから苗を植えます。苗を植えてから毎年6年間は、下刈りという作業が続きます。

下刈りとは、小さい苗木を保護するために雑草木を刈り取ることです。造林したばかりの成長力のない小さい林木は雑草木に覆われ枯れてしまうことがあるので、植栽木の生存を保証し、成長を助け、形質劣化を防ぐために、雑草木を除去することが必要不可欠なのです。

下刈りせずに放置しておくと植栽木の生育が妨げられ、生存すらできなくなることが多いのです。

苗を守るために、まわりに鹿防止柵を設置しています。

これは新しい苗を大きく育てるまでに、鹿に皮を剥いて食べられてしまうのを守るためです。

伐採などの合間をぬって作業します。

新植

伐採、間伐、枝打ち

伐採

伐採の中心は、除伐(じょばつ)、皆伐(かいばつ)、択伐(たくばつ)などがあります。

除伐
育成の対象となる樹木の成長を妨げる他の樹木を刈り払う作業です。一般的には、下刈を終了してから植栽木の枝葉が茂り、互いに接し合う状態になるまでの間に数回実施されます。
皆伐
一定範囲の樹木を一時に全部又は大部分伐採する主伐の一つです。
択伐
森林内の樹木の一部を抜き伐りする主伐の一つです。
伐採

間伐

8~10年頃から、育てようとしている木の邪魔になる育ちの悪い木、枯れた木、広葉樹、育林木などを伐採していく間伐という作業を行います。

針葉樹は密集して植えることによりまっすぐに育ちます。材として商品価値を高めるためには、まっすぐな材が望ましいです。

まばらに植えられた杉や檜は下の方が太く、先端に行くに従って細くなり曲がってしまい、材としての商品価値は下がってしまいます。

最初から間隔をあけて植林すれば間伐の必要はありませんが、木はまっすぐに育たず、商品価値がなくなってしまいます。

そのため、一定面積内に非常に多くの本数の苗木を植え、間伐をくり返し、木の成長にあわせた適正本数を保つように調整しています。

枝打ち

10年を過ぎると枝打ちという作業が必要になります。

これは、木の下の方にある枝を取り払う作業です。

枝打ちは、無節の良質材の生産を主目的としており、同時に年輪の走向角度、年輪幅など年輪構成の優れた材の生産にも効果があります。

ある高さまでの生き枝や枯れ枝を、その付け根付近から除去します。

熟練を要する作業である枝打ちは、木の成長にしたがって、裾枝打ち・背丈打ち・梯子打ちと次第に高い枝を経験やテクニックを駆使して落としていきます。

枝打ち

竹林伐採

竹は生命力が非常に強い植物です。

竹は伐採しても残った根から新たに竹が伸び、放っておくと地下茎がどんどん伸びて広がっていきます。

そうすると元々山に生えている森林や、これから育てていく木の成長を妨げ、立派な木に育ちません。

山の生態系を守るため、竹が生えてきた場合は、伐採し駆除を行っています。

竹林伐採

緑化事業

山師の仕事は、木を植え、伐採し、売るだけでなく、県や市から依頼を受け、緑化事業にも携わっております。

水源管理や自然災害の防止など、地味な作業ですが、どれも私たちの住んでいる町を守ることに繋がります。

山の木の管理がきちんとできていなければ、山に住む鹿や猿などの野生動物が街に下り、被害をもたらすこともあるでしょう。

他には、宇部市にある霜降山の緑化事業で、山の中にある公園の景観を広げるために余分な木を切り、整理をしました。

花火大会のとき、大勢の方に景観を楽しんでもらえるように行っています。

その場所を利用する市民の方々の笑顔を見ると、誇らしい気持ちになります。

緑化事業

火道切り(防火帯)

日本最大規模とされる「美祢市秋吉台山焼き」で、防火設置として「火道切り(防火帯)」をつくります。

「火道切り(防火帯)」とは、山を焼く際に、延焼が予想される地域の木を伐採することで、可燃物が無い状態にし、燃え広がらないようにする帯状の地帯のことです。

山焼きで火の勢いが強く燃え広がってしまうと被害は大きくなってしまいます。

従来より火道切りは春の訪れを告げる行事です。「美祢市秋吉台山焼き」で山焼きをした後には、美しい緑が生まれ変わり、5月頃には辺り一面が青々とした草原になります。

600年以上も続く伝統あるこの行事を守っていくために、防火設置をしっかりと行っております。

火道切り(防火帯)
火道切り(防火帯)施工前
施工前
火道切り(防火帯)施工後
施工後